2012/11/09

DEADMAN GOES

今、このブログを読んでくれているあなた
改めて、くどい様ですがご挨拶です。

僕はthe ARROWSのVocal坂井竜二です。

今日11/7に3年8ヶ月ぶりにアルバム「DEADMAN GOES」をリリースできました。

















携わってくれた全ての方に感謝するとともに、

全身全霊を注いで作り上げたアルバムをよろしくお願いします。
めっちゃいいよ!YEAH! DEADMAN GOES!

では11/23から始まるLIVEでお会いしましょう。


以降はとても長いので
興味と、お時間のある方はおつきあいください。
ありがとうございました!



_______________________________________________


さて長いです。酒か、お茶でも呑みますか。


















3年8ヶ月という時間は人生を80年とすれば約20分の1

現在の僕のに於いては約9分の1
時間をかける事が是ではないとしても、
出来上がった作品にとても満足しているだけに
思いは一入です。


音楽は瞬間芸術なので、演奏者のバックグラウンドは

聴いてるその時、意味をなさない
全ては音楽に滲み出るものですもんね。

ですがせっかくの機会なので、懐かしい写真を織り交ぜながら
遠慮なく書かせてもらいます。


【1年目】

3rdアルバム「アロイ」の発売を前にレコード会社並びに、
所属事務所との契約満了の知らせを受けました。
2009年、事務所恒例の赤坂は豊川稲荷への初詣の帰り道だった気がします。
まぁ、まさに最悪の幕開けってヤツ。
あけましてめでたくありませんでした。


うだつの上がらない僕らを拾い育ててくれた

様々な人達に感謝を伝える間もなく
僕らは鬱々としていました。

「アロイ」レコ発の代官山UNITの後、恵比寿の打ち上げ。
僕らは、この日を持って離れる事になった名古屋時代からの担当マネージャーの事、
それが象徴する、今後の自分たちの事に感傷ムードだった















しかし「マネージャーさんお疲れ!」会も兼ねていた打ち上げの締めくくり

彼はこう言いました。

「僕がいなくなるなんてどうでもいいんだ。感傷に浸っている場合じゃない。アロウズは散々ノタウチ回ればいい」
会場はシーン。。。です。


その後ちょっとして、Gtの俊司が「バンドを辞めたい」と言いました。

話し合いはこじれ、言いたく無い言葉も言ったし、聞きたく無かった言葉も聞いた。
ノタウチの始まりです。


そんな9月のメンバーの結婚式。

「おめでとう」もなんだか少し渇いて聞こえた。
あまりにもコントラストがありすぎる状態に
バンドがなければこんな思いはしなくていいけど
バンドがなければこの笑顔もない矛盾が滑稽でした。

でもそこはパーティバカ達
めちゃ盛り上げた。幸せなパーティは最高だった。


東京に帰り、毎日は元通り
周囲からは「俊司がいないなら魅力は半減。もうアロウズは止めた方がいいよ」の言葉も聞こえ始めた。


【2年目】

4人になった僕らはとにかく毎日のように集まった。
新しい生活も始まり、密航船並の心の距離にも、少し間隔ができ始めた。
僕の喉は歌うよりもミーティングでの熱弁に使われ
代わり映えのない新曲がひしめき合うも
進捗はなく、逆行してバンドが冷めて行ってると感じた。

















それでも
止まったら死ぬと思ったから、曲だけは書いた。
しかし、冷めて行くスピードはそれをゆうに追い越した。

僕は前年始めたソロ活動からの別プロジェクトTRAUMEREIで、

相方の城戸君と音楽で会話しながら自分を客観視した。
明らかに足りないところを感じ、
「ソロやる暇があったら~」という意見ももらったけど
同級生同士では見いだせない、答えを出したかった。
何よりも彼の音楽愛に大きく影響を受けた。

現在ももちろん進行中のTRAUMEREI

今思えば、これがなければ僕はまだ「仲間先行バンドマン」だったと思う。













登るのは辛く大変だけど、凄く楽しい。でも下るのはあっという間。

ましてや、途中に忘れ物をしたとなれば、取り戻るのはとても億劫。
自分たちの置かれた厳しさは誰よりも知っているからね


時間ばかりが過ぎて行き、the ARROWSのアルバムはデモからデモを繰り返してた。





【3年目】

年末からのじわりと始まったデモ音源のブラッシュアップに取りかかった。
この時点でアルバムの10曲のうち、4曲くらいが見え始めていた。
毎日の様に集まり、山内の指示のもとドラムとベースのグルーヴ研究が行われ
僕は歌詞を練り、新曲を書いた。

そんな中、3月に地震が起こった。


玄関の戸が曲がって閉まらなくなるくらい強く揺れるマンションだったので、

「ああ、死ぬんだな」って生まれて初めて思った。

街頭の消えた街、テレビから流れる映像。
できる事、できない事。したい事。したく無い事。


この日から僕らは変わったんだと思う。


アロウズの良さが伝えきれてないとか

売れそうなものを作ろうとか
もっとパンチのある言葉をとか
昇って行くメロディーをとか

全部どーでも良くなって

「全部出してやろう」スイッチを押して、ボンドで固めた。
帰りのチケットを破って踏んだ。













ライブでも新曲しかやらないことにした。
ウケるウケないじゃない。
思いきりやって、ダメだったら
みんなで大爆笑しようと思った。


山内が言ってたな。

俺は自分の音楽で認められたいし、そのためには何でもやる。付いて来れない人を励まして
一緒にがんばろう!とか言ってる余裕はない。
やるならやれ。やらないなら辞めろ。俺はやる。


僕らはもう同級生仲良しバンドではありませんでした。

でも、個として立したことで、仲良しこよしなんか吹き飛ぶぐらい強くなった。

時代として音楽をCDアルバムで聴いてもらう機会はこれが最後になる可能性はある。

僕は何か面白い事はできないか、「アルバムで聴く意味のある作品」を毎日考えた。

この時ぐらいかな。自分の作っている曲の裏に物語を感じて

みんなが制作してる間、実はずっと物語を書いてました。
気づけば50000字ぐらいのものになってた。




















『また何をしとんねん。』『どんだけ遠回り』って感じだけど
やろうと思った事は全部やった。
みんなも、何度も読んでくれたりと
つきあってくた。(これ凄いと思う)

誰もが知る小説家を担当されている角川書店の方に読んでもらったりした。
「ド素人がよくやるな」と友人達に言われたけど、今思うとホントそうだなと思う。
これだ!と思うと僕はなりふり構わずのようですw。

結果、このアルバムにストーリーを感じる理由になった。
何よりも言いたい事を整理するきっかけにもなったのが嬉しい事。
いつか物語の方も発表したい。
 

そうこうするうちにアルバムもほぼ完成した。



【4年目】
長くレコーディングしたせいか、浦島太郎のような状態。
シーンを見れば、いろんなバンドが出てきていて、
相変わらずカッコいい人達はカッコいいまま。
ソロになった人、別バンドで華々しく再開した同期もちらほら


そんな中僕らは
ドラムとベースのレコーディングで曙橋のスタジオにいた。

ハイエナのようにディスカウントされて行くタイミングを待ちながら
「ここぞ」のタイミングでスタジオを押さえた。
スタジオ側は迷惑だったかもしれない。ありがとうFAVRE。


































録リ終えたドラムとベースの音源を持ち帰り
これ以降、全てアロウズの共同作業場「アジト」で録音。
エンジニアの友人谷健太君の機材を借りたり(長期)

この先も自分たちで活動して行くために機材を大量に購入した。
メインエンジニアはメンバーの山内。ディレクション、プロデュースももち山内。


ボーカルブースなんか
マイクスタンドを3本「T字」にたてて
吸音材で囲ったものだった。



















何百万円もするマイクでやらしてもらってた以前の環境に比べれば、
なんともまあな状態だけど全然不安がなかった。思いっきり歌った。
メンバーのど根性も凄まじかったな.

とくに山内。





















出来上がった音を聴いたミュージシャン達から
「とても自主制作とは思えない音、むしろ音がいい」と言ってもらえた事は
とても嬉しかった。

音源が6月に完成し、作品を広めるために

僕は自転車をこいだ。
ポニーキャニオン時の担当佐藤さん、前任マネージャーの山田君のアドバイス。

流通ウルトラヴァイヴ奈雲さん、

デザイナー関山雄太くん
カメラマン山川哲矢くん
ゾンビになってくれた芸人長嶋智彦(ダーリンハニー)



毎日のようにPVの打ち合わせにつきあってくれたVantanの学生達、広報の影正君、















そして出来上がったPV、彼等が足場を作ってくれた。






その後、過去に世話になった媒体の人に
僕らを紹介してくれと直接会いに行った。

ナタリー大山さん、伊藤さん、
ゾンビの茶番におおいにつきあってくれた。
the ARROWSに緊急事態!? 謎の“ゾンビ襲撃映像”公開

MUSICA 有泉さん、QuipMagazine こやまさん
音楽と人 樋口さんをはじめ、協力してくれる人が沢山いた。

あの日、初詣でお別れを知った人達のとんでもない尽力に心から頭が下がった。

「アロウズは散々ノタウチ回ればいい」を乗り越えることができた。
まさにサワディカップと言いたいです。














色々あったけど、関係ないんです。
僕らのアルバムを楽しみにしていてくれた人がいる事の
なんたる嬉しい事か。

メンバー、サポートギターのTakk,その家族、友人、関係者各位、

コメントに協力してくれた先輩、同期、後輩の方々。
そしてアルバムを買ってくれた人。

アロウズをこれからもどうぞよろしくお願い致します。
このアルバムがあなたのもとに届けられた事をとても感謝しています。

長文、読んで頂きありがとうございました。

the ARROWS 坂井竜二